人間の価値

人間の価値

わたしの目にあなたは価高く、尊く、わたしはあなたを愛している。(聖書)

人間の創造

神の言葉である聖書の創世記を見ると、
「神は御自分にかたどって人を創造された。
神にかたどって創造された。男と女に創造された。」(創世記1:27)
と記されています。
そうです。天地万物の被造物の中で、人間は神に似たもの、
神の最大の愛の対象として創造されたのです。
ユダヤの格言の中に、
「一人の人間を救うことは、全世界を救うに等しい」
という意味の言葉がありますが、まさに至言です。

人間の差別

アメリカの歴代大統領の中で、忘れることのできない偉大な大統領は、
アブラハム・リンカーンです。
幼いときに母を失ったリンカーンですが、
臨終の床で、愛する母がリンカーンに残した物、
それは聖書でした。
彼は聖書を通して、神がいかに人間を愛しておられるか、
また人間は皆、神の前に平等であることを学んだのです。
アフリカから連れてこられ、
奴隷市場でまるで品物のように売り買いされる奴隷の姿にリンカーンの心は痛み、
ついに奴隷解放のために彼は立ち上がり、
見事に奴隷解放を成し遂げたのです。
また20世紀の最大の悲劇の一つは、
独裁者ヒトラー率いるドイツナチスによる、
600万人にも及ぶユダヤ人大虐殺(ホロコースト)でした。
老人も、妊婦も、子供も、まるで虫けらのように、
組織的に、毎日毎日毒ガス室で殺されていったのです。
それはヒトラーの心の中にあった、
「ユダヤ人は諸悪の根源であり、このような民族はこの地上に存在してはならない」
という人種差別が大きな原因の一つでした。
しかし、ヒトラーだけではなく、アンネが日記の中に書いているように、
人間の心の中には「破壊と殺人の本能」があります。
この人間の心の中に「愛の心」「平和の心」を与えること、
これこそは神であるキリストがこの世においでになった目的なのです。

価値ある人生

人間は、長寿だから価値ある人生だったとは言えませんし、
また短命であったから価値のない人生であったとも言えません。
大切なことは、その人がどのような目標を持って、
人生をどのように生きたかということです。
アンネは日記の中に次のようにも記しています。
「もし神様がわたしを長生きさせてくださるなら、
つまらない人生で一生を終わりません。
わたしは世界と人類のために働きます。」と。
アンネの家族は密告によって隠れ家が発覚し、強制収容所に送られ、
結局戦後まで生き残ったのは、
アンネの父オットー・フランク氏だけでした。
2年余りの隠れ家の中で、娘のアンネが書いた日記を、
戦後、オットー氏が見たとき、オットー氏も決心しました。
「わたしもアンネが願った世界の平和のために働こう」と。
1971年4月4日、聖イエス会の合唱団「黎明合唱団」は海外演奏旅行の途中、
イスラエルの小都市ナタニヤのレストランで偶然オットー氏と出会いました。
その後続いた文通の中で、
オットー氏はこう書いておられました。
「皆様がたは、わたしの娘アンネの悲劇的な人生に、
同情するだけではなく、平和を造りだすために何かをする人となってください。」と。
「神が愛しておられる人間一人一人の心の中に、
真の愛と平和を与えていく神の事業に参与する。」
これ以上に尊い事業はありません。
私たちも悔いのない、価値ある人生をおくりたいものです。
「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる。」(マタイ5:9)